「田植えで見た光」

〜こうきの小さな物語〜

村・留学6日目の田植えでのこと。
主催者の平山早苗さんの田んぼでの田植えの手伝いのために、ゴールデンウィーク中にもかかわらず、約20人もの地域の方が集まってくださった。それを見て、地域の方同士の繋がりの強さ・濃さにまず驚かされた。集まってくださった方々に自己紹介をし、快晴の空の下、いよいよ田植えが始まった。印をつけたロープを田んぼの端と端で二人が持ち、そのロープに沿う形で1列に人が並ぶ。ロープの印に合わせて、苗を1,2本とり、等間隔に植えていく。1列分植え終わると、そのロープを30cmほど平行に移動し、そのロープの印に沿ってまた植えていく。この作業を繰り返す。単純な作業ではあるが、植える度に体をかがめる必要があるため、想像以上に大変な作業だ。それでも地域の方と汗を流しながら、泥まみれになりながら、お話して笑い合いながら行う田植えはとても心地よかった。一息ついて、ふとあたりを見てみると、近くの用水路で子ども達がはしゃぎながら水遊びをしていたり、遠くの方で鳥の鳴き声が聞こえたりする。そんな時間を過ごす中で「あぁ、こんなのどかで癒やされる景色がまだ日本にあったんだ」と感動した。神戸で一人暮らしをして、毎日大学の授業や課題、アルバイトをただ時間に追われながらこなしていた自分にとって、そこでの光景は衝撃だった。そんな時間を過ごす中で「そんなにせかせかせず、もっとのんびり気楽に、でも一つ一つのことを丁寧に生活してもいいんじゃないか」 自分の神戸での生活を振り返り、次第にそんな風に思うようになっていた。

田植え

午前中の作業が終わり、お昼時になると地域の方がおにぎりを握ってくださったり、おかずの差し入れをしてくださったりと、本当に暖かい方ばかりだった。頑張って働いたあとのお昼ご飯は格別に美味しく、身体に染み渡った。コロナ禍で忘れかけていた人の暖かさや繋がりを改めて感じることができた。午後の作業は、お昼ご飯を食べたことによるエネルギーと午前の作業を経験したことによる慣れからどんどん進んでいった。そしてついに田植えの作業が完了した。朝は何もなかった田んぼが植えた苗でいっぱいになっているのを見たとき、大きな達成感を得たとともに、これまで何度も当たり前のように見てきたこのような田んぼの景色を作るのはこんなにも大変だったのだと気付かされた。お米を作るのが大変なことだというのは、知識としては知っていた。しかし、実際にそれを経験したことがあるのとないのとでは、大きな差があることに気付かされた。「もっと感謝してごはんをいただこう」改めてそう強く感じた瞬間だった。約20人という大人数で作業を行ったが、それでも田植えが終わるまでは、何時間もかかり、何度も腰をかがめるため、多くの体力が必要になった。 田植えを通して、もう一つ感じたことがある。それは「人は支え合わないと生きていけない」ということだ。 現代は技術の発達によって、一人でできることも多くなっていると思う。しかし、だからといって「一人でやらないといけない」なんてことはないし、一人でできることには限界があると田植えを通して強く感じた。

村・留学を通して、お話をお聞きした方々が共通しておっしゃっていたことがある。それは「人を頼ることは悪いことではない」ということだ。サンカクスタンドの山崎夫婦や武智カメラマン、村・留学を運営されている秀士さんといったお世話になった方々は、新しいことを始めるときや、行き詰まった際は、周りを頼って乗り越えてきたと口をそろえて話してくださった。周りに頼ることが苦手で、いつも自分だけでできるだけなんとかさせようとしてしまうことが多い自分にとって、価値観を変えてくれる言葉になった。きっとこれからの人生で壁にぶつかることも何度もある。そんなときは、「人を頼ることは悪いことではない」この言葉を思い出し、ともに壁に立ち向かってくれる仲間とともに壁に挑んでいきたい。

〈村・留学で出会った方々へ〉

ここでは書き切れないが、伊豆での9日間を通して、本当に多くの方との出会いやつながりがあった。ゴールデンウィークにいきなりやってきたぼくら留学生を、伊豆の方々はいやな顔一つせず、暖かく受け入れてくださった。それだけでなく、主催者の平山早苗さんをはじめ、多くの方が「いつでも伊豆に帰っておいで」と言ってくださった。自分にとってのふるさとが一つ増えたように感じ、心が暖かくなった。必ずまた伊豆を訪れ、お世話になった方々に恩返しがしたい。そう強く感じるほど、伊豆の方々はみなさん暖かかった。本当にありがとうございました。またこの場をかりて、一緒に村・留学に参加した4人の留学生にも感謝を伝えたい。4人ともみんなとても個性的で、さまざまなことに挑戦していた。伊豆の方々だけでなく、全国から集まった留学生からも9日間を通して、たくさんの刺激を受けた。このメンバーだったからこそ、本当に充実した村・留学になったし、毎日楽しめたのだと振り返って、心から感じる。本当にありがとう。またみんなでそろって、伊豆に行きたいし、みんなの地元にも行きたい。かけがえのない出会いがこんなにもあるなんて想像もしていなかった。村・留学には夢があるなぁ。村・留学から帰ってきてから1週間が経過した今、しみじみとそんなことを感じている。最後に改めて村・留学を通して、お世話になった方々、出会った方々へ
本当にありがとうございました!また会いにいきます!


筆者 神戸市外国語大学4年 氏名:小林弘祈

村・留学に参加したきっかけ
① 部活の後輩からの紹介
②「自分の生活を見つめ直したい」という想い。 一人暮らしをしながら、大学の授業や課題、アルバイトなどで時間に追われ、それをこなすだけのつまらない日々を変えたいと思い、参加を決意。

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